東博にて

本館 日本ギャラリー拝見の感想。

書画の展開 安土桃山・江戸(2004年10月13日〜11月21日)

干支の仲間
  • 狩野探幽「孫思ばく」江戸時代・17世紀
    • 思ばくは中国・唐代の名医ということで、〈医神・医聖の像〉関連(id:kashoh:20041006)。
    • 虎にもたれて坐る先生の像。先日見た(id:kashoh:20041010)河村若芝「諸葛孔明読書図」は背もたれから坐部に虎皮を敷いて坐っていた。思ばく先生のほうは生きている虎(たぶん)。
  • 狩野山雪猿猴図」江戸時代・17世紀
    • 〈おサルさんだよ〉もの。
    • テナガザル単独像。細く長い手、横方向に面長の顔、胴体と脚の毛並ほわほわ。
  • 渡辺始興「黄初平図」江戸時代・18世紀
    • 黄初平が白い石を鞭打ち、石をヒツジにかえたところ。
    • 「ヒツジにしてくれてありがとう〜」とヒツジが仙人に身を寄せて懐いている。年賀状によさそうな図像だ。
肖像画
  • 渡辺崋山「鷹見泉石」江戸時代・天保8年(1837)
    • このところ、常に崋山の品が展示されている。これは国宝だったのか……
    • 〈崋山と椿山の肖像画〉関連(id:kashoh:20041008)。先日見た別作品の画稿のほうに迫力を感じた。

近代美術 絵画・彫刻(2004年10月13日〜11月21日)

日本画が展示替えされた。
近くに掛けられていた、この二品の対照をおもしろく見た。

  • 河鍋暁斎花鳥明治14年(1881)、絹本着色
    • 空白嫌悪的に、みっしり配置された動植物。
    • キジに蛇が巻きついている。樹上から見下ろす鷹と蛇が睨みあう。緊張状態の動物たちに関係なく、植物は色鮮やかに咲きさざめく。
  • 島崎柳塢「美音」筆明治40年(1907)
    • 絨毯敷きの和室に集い座し、琴の音を聴く人びと。ワイドな画面だが、合計十人の老若男女。
    • 生き物は人間のみ。室内装飾・調度品、人物の衣装などの文様に植物や昆虫。全体に渋めの色づかい。

屋外でヒトの入る余地ナシの前者、屋内で人工物の意匠だけに花鳥山水が含まれている後者。視線の絡みあう前者、見えない音曲の流れる後者。色の彩度も対照的。


東洋館を拝見。

インド・ガンダーラ彫刻

展示期間が10月17日までの品もあるので、ひととおり見廻る。

中国の考古遺物

封泥各種をおもしろくみた。前に古代オリエント博物館で、メソポタミア方面の品を見たが、そちらは文字ではなく画像のマークを刻んだものが多かったような。中国は漢字の国だ。

中国の絵画・書跡 特集陳列「中国書画精華」(前期:2004年10月5日〜10月31日)

  • 梁楷「出山釈迦図」筆南宋時代・13世紀
    • 〈長いツメ、するどい〉関連(id:kashoh:20041009)。爪先を確認したかったが、目視確認できず。
  • 伝陳容「五龍図巻南宋時代・13世紀
    • ボンヤリ見入ってしまう。
  • 李氏「瀟湘臥遊図巻南宋時代・12世紀
    • やたらとハンコが捺してあって、そちらに気を取られた。

全体に、楽しいな東洋館。

雑感

本館・日本ギャラリーは展示品どうしの間隔が広くて、歩いた割に見た点数が少なく感じられた。東博の東洋館や近美の所蔵品ギャラリーの展示間隔は、じぶんのイメージする展示間隔にちかい。見て歩いた距離と点数が、ほぼ一致する。