版画美術館にて

先日行った、町田市立国際版画美術館の拝見記。

企画展「江戸の版画芸術展 黄檗美術と江戸の版画」(2004年10月2日〜11月23日)

第1部 黄檗美術と詩箋

喜多元規「隠元・木庵・即非像」。原色あざやかな彩色の肖像画。顔貌が写実的。隠元は部長椅子、木庵と即非は課長椅子に坐っている。部長椅子のほうが背もたれが頭上までと高い。
先日、板橋区立美術館の企画展「歸空庵コレクション 日本洋風画史展」でも喜多元規の「隠元自賛像」「即非自賛像」を見た。衣の色やヘアスタイル(即非は黒髪、ボブカット)は両展の画とも同じだった。
両展とも達磨図が複数展示されていた。町田は全身・半身像、板橋は胸から上の像がほとんどだった。

河村若芝「石灯籠」「諸葛孔明読書図」、鶴亭「牡丹綬帯鳥図」「松に白鷹図」、若冲「出山釈迦像」(id:kashoh:20041009)がよかった。
神戸市立博物館の収蔵品をいくつか見ることができて、ラッキー。過去の企画展カタログを、近ごろ少し読んでいて、気になっていた館。

第2部 江戸時代の浮世絵

主催館収蔵品で構成。
北斎百人一首乳母か絵とき 参議篁」って、海女さんものか。
国芳唐土廿四孝」シリーズ。エキゾチック、異国というより異世界の光景だ。
芳年「魁題百撰相」シリーズ。血腥い画の並びに放心。思わず呆ぼけ、口がポカァンとなる。「菅谷久右エ門」は夢に出そうだ。蒼ざめた顔貌に恨みがましい眼目、赤と文字の並ぶ経巻。

全体の流れはつかみにくかったが、各パートの作品をおもしろく拝見した。
中国の作品といえば、いま見たいのは年画と蘇州版画。数年前、ここ版画美術館で展示を見て知った。常設室の小特集でも取り上げてほしい。
関連:長寿とメメント・モリid:kashoh:20041209)

常設展・版画いろいろ 第3期 小特集「フローラの神殿」(2004年9月25日〜12月23日)

もちろんロバート・ジョン・ソーントン/編の『フローラの神殿』。見ることができてうれしい。
ラップランド人の服装をしたリンネの肖像」「植物に愛を射こむクピド」からスタートして、「エジプト・ハス」「エジプト・スイレン」で終わる。花のピクチャレスク・ツアーが楽しめた。……スティップルって、いいなあ。