五つのナポレオン像

2004年秋に遭遇した徳川〜明治時代に描かれたナポレオン像。いままでになく何種類も見かけたので、記念にメモしておく。

  • 渡辺崋山「ナポレオン像」紙本墨画
    • 企画展「歸空庵コレクション 日本洋風画史展 江戸文化シリーズ NO.20」(板橋区立美術館、2004年8月21日〜10月24日、全期)
    • 扇子に墨絵のナポレオン。モデルは誰? 面長長髪、音楽室の壁に掛かる肖像画に混ざっていそうな顔貌。
  • 椿椿山「奈翁像」
    • 企画展「歸空庵コレクション 日本洋風画史展 江戸文化シリーズ NO.20」(板橋区立美術館、2004年8月21日〜10月24日、第1〜2期)
    • カラー。ショートカット、やや細面な感じ……誰?。
  • 菊池樺郷(かごう)「波利稔王像」(『那波列翁伝』初編一・口絵)、木版、安政4年(1857)
    • 開国150周年記念展「西洋が伝えた日本/日本が描いた異国」(印刷博物館・本展示室、2004年9月11日〜12月12日)
  • 大山助一「第一世拿勃烈翁像」明治13年、銅版・エングレーヴィング
    • 企画展「『米欧回覧実記』挿絵銅版画とその時代展 銅鐫にみる文明のフォルム」(久米美術館、2004年9月2日〜10月31日)
    • 初めてボウシを被ったナポレオン像を見た。
    • 日本人初の本格的なエングレーヴィング作品とのこと。そのモティーフが彼とは……へぇ。
    • 日本の石版画のナポレオン像は、これ以前にあったようだ。
  • 「佛蘭西帝第一世なぽれをん」(福澤諭吉/著『世界国尽』挿絵)木版
    • 企画展「『米欧回覧実記』挿絵銅版画とその時代展 銅鐫にみる文明のフォルム」(久米美術館、2004年9月2日〜10月31日)
    • コドモ向けに書かれた世界の地理風俗に関する本の挿絵。無帽の軍服姿。日本初のコドモのためのナポレオン像か。

ここに安田雷洲の「ナポレオン像」が加われば〈六つのナポレオン像〉になるのだが。

崋山と椿山の肖像画

板橋区でナポレオン像が展示されていた師弟の作と、上野でも遭遇。
特集陳列「肖像画」(東京国立博物館 本館、2004年9月1日〜10月11日)にて拝見。

  • 渡辺崋山「坪内老大人像画稿」江戸時代・文政元年(1818)
    • 面構えから目が離せなくなる。首から下のラフな線も。
  • 椿椿山「佐藤一斎(七十歳)」江戸時代・天保12年(1841)
    • 佐藤一斎夫人のも対で描かれているが、この特集陳列は俗人男性の像に限定しているらしく展示はナシ、参考として写真が解説文に添えられていた。この頃の写実的な肖像画で、女性像はほとんど見たことがないと思う。夫人像も実見したかった。
    • 展示の解説文によると、儒学者佐藤一斎は崋山の師。椿山の作より二十年前に崋山も一斎を描いている。

関連:長寿とメメント・モリid:kashoh:20041209)椿山