千葉市美にて

図像分摂取。千葉市美術館は二回め。期末の迫った企画展二本を拝見。内容、量ともに大満足だけど、それでもやっぱり千葉は遠い……。

都市のフランス 自然のイギリス 18・19世紀絵画と挿絵本の世界

http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2007/0807_1/0807_1.html
“18・19世紀”“挿絵本”“栃木県立美術館の代表的な西洋絵画と豊かな版画コレクションの中から”*1ときたら、見に行きたくないワケは無い!(にしては出動に時間が掛かっている。)前後期で展示替えあり、前期も見たかったなあ……。

フランスもの

久しぶりに見たよグランヴィル! いいなあ『もうひとつの世界』『星々』。あまり好みではないギュスターヴ・ドレだけど「さまよえるユダヤ人」はいいな。モーリス・ドニがうれしい。「エロアあるいは天使の妹」「幻影と予感」などミスティークな画面。ファンタン=ラトゥールのリトグラフは油彩の筆触まんまだな。

イギリスもの

油彩・水彩セクションでロセッティ「レディ・リリス」も見ることができてラッキー。
ウィリアム・ブレイク! 伸展と浮力が素敵。『夜想』は間近に見たい。フューズリのE.ダーウィン『植物の園』もいいな。ジョン・マーティンの閃く闇! メゾチント『失楽園』が幾つか*2
鉄道関連の構築物*3、土木事業の記録スケッチは廃墟画の逆。
挿絵本セクションでは、リチャード・リアのナンセンス本、ケイト・グリーナウェイ、ウォルター・クレイン、ニコルソン、リチャード・ドイル『妖精の国で』など。もちろんビアズレーも。クレイン「ラッキー・ボーイ王」、グリーナウェイハーメルンの笛吹き*4の絵葉書ほしい。
イギリスコーナーでは児童書が紹介されていたが、フランスの児童書の展示はあまり見ないような。イギリスのファッション・プレートを見かけないのと同じか。

ウハウハ

な内容だった。メゾチントはいいな、木口木版はいいな、石版はいいな。ありがとう千葉市美術館、栃木県立美術館
“自然”に関連して、埼玉県立近代美術館で予定されている「田園讃歌 近代絵画に見る自然と人間」はどうだろう。

この展覧会は、山梨県立美術館秘蔵のミレー《落ち穂拾い、夏》、埼玉県立近代美術館のモネ《ジヴェルニーの積みわら、夕日》の二つの名作を核として構想されました。

というあたりで混雑のにおいがして、気後れするが(いまやミレー、モネでは混まないか?)。

若冲とその時代

http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2007/0807_2/0807_2.html
“ 江戸絵画百花繚乱 若冲の時代の京都の画家たちとニューウェーブ”という企画。
円山応挙の「鉄拐蝦蟇仙人図」がうれしい。南蘋派が幾つも。岡本秋暉のちょいハデ博物画ふうの作をまとめて。無款の「猫金魚花鳥図」はヘンに目を惹く。芦雪「花鳥蟲獣図巻」の犬コロは可愛すぎ。「虎渓三笑図」の蕭白にキュビストを見た。
会場に居合わせた年嵩の人たちから“なんでも鑑定団で〜”という会話が聞こえた。「日展100年」展でも聞かれた。未だに番組を見たことは無いが、美術関係の情報源になっているのか?

来年一月には

「日本の版画・1941-1950」が予定されている。

昭和16年から25年頃までの日本版画を集め、自由な表現を封じられた戦争期から、現代版画の清新な萌芽を見せる戦後まもない時期にかけての作品を紹介します。

とてもおもしろく拝見した2004年夏秋の企画展「日本の版画・1931-1940」の続篇。すごく楽しみ。

ミュージアム・ショップ

リニューアルされている。明るく快適な照明で、品じながよく映る。

絵葉書

収蔵品物件を購入。吉田博、山川秀峰恩地孝四郎須田悦弘、大塚聡、など。次回来館時には新作を期待。
栃木県美の物件が、もっと来ているかと思っていたが少なく、購入する物件も無く、残念。
昨夏の巡回展「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」物件も幾つか。酒井駒子『赤い蝋燭と人魚』、田中清代『トマトさん』を購入。

オマケ)千葉駅←→美術館

千葉駅前 花より蹴球?
美術館への路面
防火/消火活動
グラスロード
キングスロード

*1:ずっと前、町田市立国際版画美術館で二館共同、19世紀挿絵本の企画展を拝見した覚えが。いつか栃木、町田、千葉三館の所蔵品で、18・19世紀西欧の版画を気絶するほど展示してほしい。

*2:『聖書図会』とあわせてまとめて見たい。油彩も。

*3:id:kashoh:20030803 東京ステーションギャラリー「描かれた旅とロマン 鉄道と絵画」でも見た?

*4:モーリス・ドニの踊る少女たちの絵(西美所蔵)を連想する。