東博にて

東京国立博物館の平常展(本館、東洋館)を拝見した。

暮らしの調度 安土桃山・江戸(本館)

火事装束の展示あり。好きなジャンルだ。波兎、雨龍などの文様。いままで見たのは成人男女の装束。コドモ用は見たことが無い。とにかく迅速に避難させねばならないから、装束など不要なのか。

書画の展開 安土桃山・江戸(本館)

西王母図」福田太華/筆。凡の女神さま・西王母。秋色のシックな装いだった。

浮世絵と衣装 江戸(本館)

キアロスクーロ

目当ての部屋は此処。今回の展示は西美の企画展「キアロスクーロ ルネサンスバロックの多色木版画」にちなんで、立体表現を試みた浮世絵が集まっていた。江戸時代だけでなく明治時代の作品も展示。

芳年「奥州安達ヶ原ひとつ家の図」「金太郎捕鯉魚図」の並びがうれしい。どちらも逆さまの人物像を含む。
  
左、キアロスクーロな尻の金太郎。中央は隣りの科学博物館で撮った鯨の尾。右、庖丁研ぎの鬼婆のツメに注目。鋭く尖ってはいないが長め。この夏は「近代美術 絵画・彫刻」の間で〈英名二十八衆句〉の芳年も見ることができた。今後も芳年と同時代の作家の版画作品の展示増を希望。

小林清親「東京名所図・両国大火浅草橋」、小倉柳村「八ツ山之景図」、井上安治「新吉原夜櫻景」の並びもよかった。前二者から連想してジョン・マーティンの絵を見たくなる。窪俊満「夜景内外の図」は、ほぼモノクロに少し着色した夜景でおもしろい。
先に見た町田市立国際版画美術館の企画展「浮世絵モダーン」(id:kashoh:20051110#p2)の創作版画の頃になると、明暗表現の技巧が凄く精妙になっていた。吉田博「東京拾二題 神楽坂通 雨後の夜」が印象に残っている。夜景、水と燈火に滲む路面とか。

歌川国長「新板阿蘭陀浮絵楽徳海嶋銅人巨像」、歌川国虎「羅得島湊紅毛船入津之図」のファンキーな二点は、西洋版画をカヴァーした浮世絵。世界の七不思議ロードス島の巨人像の画。わけのわからなさはいい勝負だが、国長のほうが好きかな。

〈浴室の美女〉

三枚続の歌川豊国「風呂場」あり。前回は礒田湖龍斎「風呂屋内外」を見た。今回(左の画像)も窓越しに浴室外の人が描かれている。
歌川豊国「風呂場」部分歌川豊国「風呂場」部分歌川豊国「風呂場」部分 礒田湖龍斎「風呂屋内外」
近美などで見られる日本画の浴室はタイル貼りの洋風が多いような気がする。やはり浮世絵は和風に木造でしょう。
http://bunka.nii.ac.jp/jp/heritage/detail/130012000437.html ←この頃よく目にする橋口五葉の「浴場の女(ゆあみ)」。

喜多川歌麿

「娘日時計・申ノ刻」「当世踊子揃・鷺娘」の二点、もしかして宮様のご婚礼にちなんだ展示?

西アジア・エジプトの美術(東洋館)

「彩文土器 馬形リュトン」。キュウト。ミニチュアをお持ち帰りしたい。

中国の陶磁 宋〜清時代の陶磁(東洋館)

耀州窯、鈞窯の作品に注目してしまう。あと柿釉とか茶葉釉とか。

西域の絵画(東洋館)

「白描地獄図」模写(原本:ベゼクリク石窟第8窟)は彩色してなくても充分、厭な感じ。中央には針の山。

きょうは

たくさんの人人が平成館「北斎展」に吸いこまれていった(凡はこの展、パス)。平常展示には、相変わらず楽しませてもらった。近代美術室など、次の展示が楽しみだ。
親と子のギャラリー「鏡のうらおもて」を見るのを忘れてしまった! 期間内にまた行かねば。