東博にて

先日、東京国立博物館の本館 日本ギャラリーを拝見しての雑感。

浮世絵と衣装―江戸 浮世絵(2004年11月23日〜12月19日)本館

ニッポンの年末といえば〈忠臣蔵*1。このテーマの展示が多い。本館16室でも特集陳列「元禄時代忠臣蔵 The Genroku Era and the Chushingura Vendetta」(2004年11月23日〜12月26日)。
今期このコーナーでは、パラソルではなくアンブレラが活躍していた。

雨のアンブレラ
  • 鳥居清長/筆「秀鶴夜雨」江戸時代・安永9年(1780)
    • 破れ傘。
  • 北尾政美/筆「浮絵仮名手本忠臣蔵・五段目」江戸時代・18世紀
  • 歌川豊国/筆「忠臣藏五段目」江戸時代・18世紀
    • 「五段目」後者は傘をとじて雨にうたれる。
雪のアンブレラ
  • 礒田湖龍斎/筆「風流十二季花・弟月」江戸時代・18世紀
    • びっしり雪積。
  • 一筆斎文調/筆「市川八百蔵瀬川菊之丞の相合傘(鷺娘)」江戸時代・18世紀
    • ちょっと雪のせ。
  • 鳥居清長/筆「雪月花東風流・王子村」江戸時代・18世紀
    • たたんだ傘に雪が少し残っている。王子、田舎だ……
  • 歌川豊国/筆「雪こかし」江戸時代・18世紀
    • 三枚もの。中央に雪を積んだ大きな傘をさす女性。
    • 雪あそびのシーンか。左側で大きな雪玉を作っている。雪かき用のスコップが描かれている。
    • 手が冷たそう。浮世絵で防寒用の手袋って見た憶えがない。当時、日用品として普及していたか、いなかったか。

書画の展開―安土桃山・江戸 (2004年11月23日〜12月26日)本館

  • 谷文晁/筆「公余探勝図巻 上巻」江戸時代・寛政5年(1793)
    • 欧州の風景画を思わせる。平台展示。同室の壁面に並んだ掛軸山水画と対照的。

近代美術―絵画・彫刻 (2004年11月23日〜12月26日)本館

  • 川村清雄/筆「形見の直垂(虫干図)」明治32〜44年(1899〜1911)
    • 近代の間に入ってスグ、この画に注目した。画面左の真っ白い直垂を羽織る日本髪和服の少女、右端の洋服の胸像が対照的。そして同居する種種の物品。おもしろい空間だ。
  • 山本芳翠/筆「花化粧(花飾りの女)」明治時代・19世紀
    • 円い鏡のような楕円の画面。女性がのぞく鏡像を見るような。
  • 安田靫彦/筆「夢殿」大正元年(1912)
    • 太子像だ。画面右に聖僧×3、左に天女様(?)×3、そして中央に瞑目して坐す太子、うっとり薄くわらう。

年内、もう一度くらい見に行きたい。

*1:毎年この時季になると、ことしこそ凡も忠臣蔵がおもしろく感じられるようになるか? と思ってみるが、いまだに忠臣蔵はおりてこない。