東博にて
東京国立博物館を拝見して印象的だったもの、簡単なメモ。
久しぶりの東博。最初に遭遇したのはコレ。看板の日付に留まっているのは……ヒトの撮影にも動じない蝿。
国宝室 孔雀明王像 本館 日本ギャラリー(2005年7月5日〜31日)
禅と水墨画 鎌倉〜室町 本館 日本ギャラリー(2005年6月7日〜7月18日)
- 「仙女図」良祐/筆、室町時代・16世紀
- タイトルの英語表記は“Female Taoist Immortal”になっていた。桃仙果を持ち、植物製の衣を纏い、腰に瓢箪と巻物。
- 手のツメが長くするどい。足は親指のツメが長い。
- 髪形はちょっとウェーブかかったようなボワボワした感じ。今風に描くならデフォルメしてアフロにするか。
- 去年の六月頃にもこの本館で見た。好きな画題。
- 「繩衣文殊像」石室善玖/賛 南北朝時代・14世紀
- 縄を活かしたデザインの服の女性像。「仙女図」と較べておもしろく見た。こちらのほうがハッキリした性格していそうな顔立ち。朝の通勤時間帯の電車に一人は混じっていそうな顔。
- 手のツメ長くするどい。髪形は少し縮れぎみに描いているように見える。服と合わせてか?
- 「白衣観音図」伝一之/筆、室町時代・15世紀
- 先の二点と並んで、衣服に注目すべきか。
- こちらも去年の六月頃に本館で見た。
武士の装い 平安〜江戸 本館 日本ギャラリー(2005年6月21日〜9月19日)
どんな奇抜な物件が登場するか、楽しみにしているコーナー。
- 「白糸威富士山形兜」江戸時代・17世紀
- 頭に富士山をいただく兜。
- 「金茶糸素懸威波頭形兜」江戸時代・17世紀
- 波兎だよ。
いきなり楽しい兜たち。そして鎧兜のケースには。
- 「白糸威二枚胴具足」江戸時代・17世紀
- ホーラホラみんなの声がする……頭にサザエでございます。栄螺の“栄”の字が好まれてのデザイン? いいなあ。
- 「紺糸威六枚胴具足」江戸時代・18世紀
- 隣りの兜、鉢は桃形。
江戸時代・サムライのデザイン魂を、ぜひ2006年W杯ドイツに持っていってほしい。前大会から4年経ったニッポンの被り物の進化に期待。
屏風と襖絵 安土桃山・江戸 本館 日本ギャラリー(2005年6月21日〜7月31日)
- 「許由巣父・蝦蟇鉄拐図屏風」中村芳中/筆、江戸時代・18世紀、紙本淡彩
- これがきょうの来館の主目的。〈蝦蟇鉄拐〉と〈許由巣父〉を左右に並べる、贅沢な一双。豪華メンバーでうれしくなってしまう。
- 左隻・蝦蟇鉄拐図。蝦蟇は仙人におぶさって、上をキッと見ている。なかなか凛々しい。
- 右隻・許由巣父図。許由は左の耳を洗っている。巣父は黒牛を連れている。
- 許由巣父の手のツメは長いが、蝦蟇鉄拐のほうは短かった。
曽我蕭白の「群仙図屏風」「蝦蟇・鉄拐図押絵貼屏風」、ほかの蝦蟇仙人図や鉄拐図を見たい。「許由巣父図」は去年見た。
暮らしの調度 安土桃山・江戸 本館 日本ギャラリー(2005年6月21日〜9月11日)
やきものに注目。
- 「団扇形鉢」上野、江戸時代・18世紀
- 青色がいい。
伊万里の染付を集めたケースから。
- 「染付洗象図大皿」伊万里、江戸時代・19世紀
- 去年の夏、出光美術館「中国陶磁のかがやき」展で〈掃象図〉のやきものを見て以来、気になっていた画題。バケツリレーする者、ブラシをかける者、この図は八人で一象を洗っている。象の太い眉がキュウト。
- 「染付双兎図大皿」伊万里、江戸時代・19世紀
- カワイイ。
- 「青磁染付鶴亀文大皿」伊万里、江戸時代・19世紀
- ダイナミックな構図。
- 「染付松鷲図大皿」伊万里、江戸時代・19世紀
- これもダイナミック。
- 「染付群烏文大皿」伊万里、江戸時代・19世紀
象、ウサギ、鶴と亀、ワシ、カラスと、ケースが動物園になっていた。暑い夏を乗りきるための動物磁気の摂取に最適。オススメのコーナー。
書画の展開 安土桃山・江戸 本館 日本ギャラリー(2005年6月21日〜7月31日)
季節ものか、蓮の画が目についた。「達磨・蓮図」狩野安信/筆(江戸時代・17世紀)の組み合わせが気になった。「護持院ケ原図」伝司馬江漢/筆(江戸時代・19世紀)が異色だった。
浮世絵と衣装 江戸 浮世絵 本館 日本ギャラリー(2005年6月21日〜7月31日)
このコーナーではいつもどおり、パラソル(日傘)、アンブレラ(雨傘)・笠をチェック。
- パラソル
- 「傘差し美人図」鳥居清信/筆、江戸時代・18世紀
- 「小野道風」鈴木春信/筆、江戸時代・18世紀
- アンブレラ
今回の展示では、季節もの〈七夕〉、品川など水辺の遊興シーンの画が数点ずつ。
働く女性図ものは「針仕事」喜多川歌麿/筆(江戸時代・18世紀)。三枚続の右図では、少年が猫に鏡をのぞかせていた。
浮世絵と衣装 江戸 衣装 本館 日本ギャラリー(2005年7月5日〜9月4日)
根付のガラスケース内に蝦蟇仙人を発見! 「蝦蟇仙人牙彫根付」(江戸時代・19世紀)。蝦蟇が一本脚で立っている。
企画展示 特集陳列 キリシタン関係遺品−聖母像− 本館 日本ギャラリー(2005年7月5日〜9月25日)
ロザリオの聖母の踏絵が目当て、なのだが、ついロザリオ各種に目(デジカメ)が。
これがいいかな。クルス、おメダイ付き数珠リオ。
近代美術 絵画・彫刻 本館 日本ギャラリー(2005年6月7日〜7月18日)
ワイドスクリーンの「地獄極楽図」河鍋暁斎/筆(麻布着色、明治時代・19世紀)が見ごたえあり。画面の大半は火焔と責苦と呻吟の地獄風景。ついチェックしてしまうのが閻魔様のツメ。短かった。が、右側に居る二人は長く、左の二人は短かった。
実物は、これくらいの大きさ。
近代工芸 本館 日本ギャラリー(2005年6月14日〜9月19日)
金襴手はいいなー、七宝はいいなー、と見ていたら、蝦蟇仙人が! ブロンズ像「蝦蟇仙人置物」大島如雲/作(大正〜昭和時代・20世紀)。ちょっと持って帰りたいような。でもケース奥に置いてあって見づらかったよ。
きょうは一日で三組の蝦蟇&蝦蟇仙人を確認。蝦蟇と仙人の位置をメモ。
- 絵画:仙人が蝦蟇を背負う
- 根付:しゃがんだ仙人の前に蝦蟇が一足で立つ
- 置物:蝦蟇が仙人の左手に留まる
これまでに遭遇した蝦蟇仙人(id:kashoh:20040922)。
ほか
特集陳列「日本の博物学シリーズ 博物図譜−その系譜をたどる−」、同「万国郵便切手」を見学。
本日の行程終了。おもしろかった。